日記(観覧車、給湯器の故障)
5日(火)
春節。
前回の日記に書いたとおり、昨年から合肥では爆竹や花火が禁止されたので、まったく新年ムードが感じられない。
特にしなければならないこともないので、ゆっくり朝寝。
寒い朝にぬくぬくとしたベッドで二度寝をするのは最高の贅沢である。
とはいえ、いつまでもそうしているわけにはいかないので、昼前には起き出し、勉強と部屋の掃除をちょちょっと済ませたあと、いつもの公園に行き一時間走る。
今日は太陽が出ているが、ちょっと空気の状態が良くないようだ。
この公園にはメリーゴーランドや小さなジェットコースターなどのアトラクションがあるのだが、私がいちばん好きなのは観覧車である(一回15元)。
記憶にある限り、日本にいるときは観覧車に乗った記憶がない。
学生時代に住んでいた鹿児島には、新幹線が止まる駅ビルの上にそこそこ大きな観覧車があって、幾度か乗ろうとお誘いいただいたこともあったのだが、結局乗らなかった。
なんで乗らなかったのか、今でもよくわからない。(結局その観覧車には、前々任校にいたとき協定校の鹿児島大学へ学生さんを引率した時に乗った)
この公園の観覧車は人も少ないし、値段も手頃なので、ときどき一人で乗りたくなった時に利用する。
学生さんにその事を話すと「えー、ひとりで観覧車とか寂しくないですか?」と言われる。
あのね、観覧車ってのはそもそもが寂しいものなの。
「舟を編む」(2013年)でヒロイン役の宮崎あおいが「観覧車って楽しいけど、ちょっと寂しいよね」と漏らすシーンがあるが、これは非常によくわかる。
一番高いところに至るまではワクワクして楽しいが、その楽しみにしていた「一番高いところ」なんて一瞬で過ぎ去ってしまい、あとは景色を見るにしても、話をするにしても、地上に戻るだけという雰囲気に影響されてしんみりしてしまう。
そのしんみりの瞬間を一人で味わうというのも、私は結構好きだ。
それに、この公園の観覧車は結構古くて、風がちょっと吹くとグラグラ揺れる。
経費削減のためか客が来た時しか動かさないし、受付のおばさんもテキトーなので、自分が乗っているということを忘れられて止められたらどうしようというドキドキ感も味わえる。(実際に車内に「救援番号」がなぐり書きされているあたりリアルさが増す)
村上春樹『スプートニクの恋人』のなかに海外でいい加減な管理者のせいでひと晩観覧車に閉じ込められた人物のエピソードが出てくるが、この恐怖感は一人で観覧車に乗ったことがなければ半分しか理解できないのではないかと思う。
ということで、私は結構「一人観覧車」が好きである。
ジョギングを済ませたあとは川沿いに歩いて帰る。
新年の一日目なのに、公園の中や川沿いで一人で過ごしている人間をけっこう見かける。
「家族団らん」なんていっても、家の中に人間が集まりすぎると息抜きしたくなるのだろうか。
6日(水)、7日(木)
とくにこれといって書くべきこともなし。
映画を見て過ごす。
「レオン」を英語音声中国語字幕で見る。
ゲイリーオールドマンの狂った演技がいい。
8日(金)
今年一番の積雪。
寒い。
そんな時に限って給湯器が壊れる。
よって熱いシャワーを浴びられない。
春節休暇の真っ最中なので修理も呼べず銭湯にも行けない。
仕方がないのでガスコンロと電気ケトルとIHコンロを総動員し沸かしたお湯をバスタブに張って何とかする。
まあ、11日に日本に帰省するので、2~3日の我慢で住んだだけでも幸運だとしておこう。
9日(土)
あいかわらず積雪。
私が飛ぶ日にはちゃんと天候が回復してくれるだろうか。
去年も雪のせいでフライトがキャンセルになっているし、ちょっと心配になる。
天気のことはどうしようもないし、一時帰国するので、そのまえに部屋の掃除を済ませようと頑張る。
3時間ほどかけてキッチンを綺麗にしたあと、いつもの公園に行き一時間走る。
園内の梅がきれいに咲いている。
やはり梅には雪がよく似合う。
家に帰って昨日同様持てる限りの熱源と鍋を利用して風呂を沸かし、入浴剤をたっぷり入れ、体の芯から温まる。
さっぱりしたあとは冷蔵庫の食材を殲滅すべく、もやしやほうれん草、きのこをたっぷりぶち込んでラムしゃぶ鍋を作る。
うまい。
この2,3日ゴロゴロしていたので、すこし生活リズムが乱れてしまった。
昼夜逆転まで行かずとも、4時間ほど体内時計がズレてしまい、12時に起きるようになっている。
なので修正すべく、満腹感と芋焼酎のお湯割りでほんわかした勢いを借りて、今日はさっさと寝る。