とある日本語教師の身辺雑記

中国の大学で日本語を教えながら、日常の雑感や出来事を気の向くままに綴ります(最近は麺と猫と自転車が主)。

週末日記(餃子を包み、とんこつを煮る)

16日(土)  

10時起床。

ねむい。

なんだか体の奥底から疲れを感じる。

このまま一日ベッドでダラダラしていたいが、経験上、「疲れたし、ダラダラするか」という姿勢で一日を過ごしてしまうと、かえって疲れがたまってしまう。

なので、頑張って起きる。

今日は餃子を作るつもりなので、とりあえず市場にゆき、餃子の具材を買う。

なぜ餃子を作る(というより「包む」)かというと、昨日の夜キッチンドランカー状態でお酒を飲んでいたら手持ち無沙汰になったので、なんとなく小麦粉から餃子の生地を仕込んでしまったからである。

別に餃子を食べたかったわけではなく、生地を打ちたかっただけ。

とはいえ、皮を作ってしまった以上、包まねばなるまい。

というわけで、市場へ餡の具材を買いに行くのである。

「市場へ行く」という言葉はなかなか日本にいた時には使わなかった言葉だが、いいね。

言葉に温かみがある。

訪れた市場は家から徒歩で5分程度の場所にある。

ちょっと割高だが、野菜が新鮮で品数も多い。

いろんな色をしたいろんな果物がいろんな形で並んでいる。

よく晴れた休日の昼前ということもあり、とても賑わっている。

ものを売る人や買う人、冷やかし程度にぶらぶらしている者、野菜やら果物やらがひしめき合った売り場を所狭しと走り回る子どもたち、そんな光景をすっかり見飽きたものかのような目つきで見つめているワンちゃんまでいる。

なぜだか市場の犬にはこの世の真理を知り尽くした思想家のような雰囲気がある。

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まずは肉屋さんで豚肉を買う。

ミンチが欲しかったのだが売ってなかった。

ミンサーがおいてあるので、「挽いて」といえば挽いてくれるのだろうが、あいにく「肉を挽く」という語彙が私の中国語にはない。(いま事務室にいたO先生に聞いたところ、「肉を挽く」は绞肉,「挽肉」は肉馅とのこと)

6年も中国で生活しておきながら、今日まで「挽く」という単語を知らなかったということは、私はあまり「挽肉」に興味がないということなのだろう。

語彙に好みが出るね。

仕方がないので塊のまま買って帰って、家で包丁を使いミンチにすることにする。

肉を買ったあと、野菜売り場で「にんにくの葉っぱ」「長ネギ」を購入。

とりあえず買い出しが終わったので、昼寝。

3時に目覚める。

夕食の準備。

豚肉を細切りにしたあと、中華包丁と出刃包丁の二刀流でガンガン叩いてミンチにする。

それをボウルに放り込み、「にんにくの葉っぱ」「長ネギ」のみじん切りや「とうもろこし」を加え、卵をつなぎとしてひとつ割り入れ、鳥ガラスープの素、オイスターソース、醤油などなどで味付け。

そうやって出来た餡を自家製餃子の皮で包み、茹でる。

銀色夏生『つれづれノート』を読みながらビールとともにちゅるっといただく。

うまし。

満腹したので、寝る。 

 

17日(日)

8時半起床。

唐突にとんこつラーメンが食べたくなった。

バスで30分ほどのところに「味千ラーメン」があるし、大学のそばに「一蘭ラーメン」のパチもん「蘭池ラーメン」があるのだが、高いし味もイマイチ。

ということで、自分でスープから作ることにする。

散歩がてら歩いて杏花公園近くのスーパー行き、まずは招き猫がイラストされたラーメンどんぶりを買う。49元。

その帰りに市場で「げんこつ」(豚の大腿骨)や一緒に煮込むための野菜を買い、とんこつスープとチャーシューを同時進行で制作。

まずは「げんこつ」をさっと洗ったあと、下茹で。

下茹でしたものをさらに水洗いして汚れや血を落としたら、長ネギと一緒に鍋に放り込み、アクが出てくるまで煮込む。

アクを取りきったら、にんにくやにんじん、昆布なんかと一緒に30分圧力鍋でさらに煮込む。

圧力鍋の圧が抜けるのを待つ間、グランドに行き、5キロほどジョグ。

圧力鍋で煮込んだおかげでだいぶ「ホロホロ」になった「げんこつ」を、もっと大きな鍋に移し替えて、鰹節をくわえ、さらに2時間ほどグラグラ煮込み続ける。

こうやって17時過ぎまでスープ作り。

なぜだか知らないが、私はこうやってキッチンに立って何かを煮込んだり、出汁をとったりしているとき、すごくやさしい気持ちになることが多い。

たとえそれを口に入れるのが自分だけだとしてもだ。

たぶん、その「口に入れる自分」はまだ存在していないにもかかわらず、そのような存在のために今を使うという作業に、「やさしさ」を感じさせる何かが含まれているのだろう。

料理は本質的に他者に向け、時間をオーバーラップするものだ。

そういう営みをできる自分の「優しさ」に自分で感動しているのかもしれない。

コツコツ煮込む作業は、まさに時間という要素が全面に出るからね。

そんなことを考えながら寸胴鍋と向き合っていたら、電話がかかってきて、夜に会食の予定が入る。 

「日曜日はネジを巻かない」ので基本的に他人には会わないのだが、食事のお誘いは嬉しい。

ということで、夕方から家の近くの安徽料理屋さんで食事会。

 「ガチョウ」や「チンジャオロース」などの美食と美酒をたっぷりいただく。

二軒目で「チョコレートビール」なるものを試したりしている間に、あっという間に11時すぎ。

慌てて家に帰ってコンロでお風呂を沸かし(まだ給湯器は直っていない)、お風呂に入って就寝。

ラーメンは明日のお昼にします。