とある日本語教師の身辺雑記

中国の大学で日本語を教えながら、日常の雑感や出来事を気の向くままに綴ります(最近は麺と猫と自転車が主)。

1日で巣湖1周200kmロングライド!

10月3日(木)

 

国慶節休暇の3日目。

私にはこの国慶節にぜひともやりたいことがあった。

それは「自転車で巣湖1周」である。

「え、それって前にやらなかったっけ?」

そのとおり。

私は今年の8月に2泊3日の日程で1周した。

ただ、そのときはふだん自転車に乗らない2人の連れがいたし、私自身自転車にあまり乗らなくなっていた時期だったため、長距離ライドに対していまいち自信がなかった。なので、のんびりと泊りがけで1周したのである。

でも、路上で合肥の自転車乗りとすれ違って自転車談義に花を咲かせるときに、「泊まりで巣湖1周した」と「1日で1周した」とでは、だいぶ違う。

このまえ長距離ライド(140kmぐらいかな)に出たときに声をかけてきたおじさんライダーは、背中にテントを背負いMTBに乗りながら「若い子たちは速いロードが好きだよね、まあ私は今日はゆっくり時間をかけて1日で巣湖を回るよ」とにこにこ笑っていた。 

私は1日で回ったことがないので「ああ、巣湖1周ですね、私も今年の夏にやりましたよ、ははは……3日かけてね」と応じるしかなかった。 

そのおじさんを「すごい!」と思ったが、実際にやったことがないので本当にすごいのかどうかすらわからない。

だからこの国慶節にはぜひ1日で1周したいと思っていたのである。

学生さんや同僚の先生たちにそのことを話したところ「すごいね!」(知らんけど)とのことだったが、私は決して「すごいね!」と言われたいからやるわけではないのだ。

むしろ自分に「すごいね!」と言いたいからやりたいのである。

だから、やるぞ!

そんな私だが、これまでの1日あたりの最長走行距離は160km。

巣湖1周そのものは157kmほどらしい(前述のおじさんライダー情報)。

なので十分走れる距離なのだが、私の家から巣湖までは最短でも23kmはある。

よって1日で1周しようとなると(地下鉄で輪行するとか前日に湖畔のホテルに泊まるとかでもしない限り)合計200km走ることになる。 

ホテル代が跳ね上がる国慶節のこの時期にホテル泊となると出費が大変だし、地下鉄は「折りたたみ自転車は持ち込み可」(てことは折りたたみ以外はダメ?)という、なんとも曖昧な対応が予想されるので、輪行もパスしたい(だいたいロードを組み立てるのがめんどい)。

ということで、「1日で巣湖1周(ついでに200kmにも挑戦)」ライドを決行することにしたのである。

 

本来は1日の国慶節当日に実行する予定だったが、この日は前日の仕事の疲れと飲み会の影響で予定より遅い朝6時に起床。

あまり状態が優れないので、パス。無理はしない。明日にしよう。

翌2日、前夜早く寝すぎて午前0:20分というとんでもない時間に起きてしまう。

予定では4時30分ぐらいに出発して車が少ない朝の街を抜け、夜明けと同時に巣湖湖畔にたどり着くつもりだったので、ちょっと早すぎる。

パス。無理はしない。安全第一。また明日。 

 

ということで、3日である。 

今度はちゃんと午前3時半に起床。

朝ごはんとしてバナナ1本、食パン2枚、ローソンのおにぎり(シーチキン)1個を食べる。 

200kmは未知の世界なので、回りにコンビニなどない巣湖周辺でお腹が空いてどうしようもなくなった時のため多めに補給食(ソイジョイのようなもの、スニッカーズ、おにぎりなどなど)を用意し、サドルバックに詰め込む。ついでに各種工具と予備のチューブも放り込む。

秋とは言えまだまだ日中は暑いのでボトルを2本用意し、1本には水を、もう1本には運動中の筋肉疲労や分解を防ぐためBCAA(スイカ味)を溶いたドリンクを詰める。

トップチューブバッグには、走りながら口にするための補給食(エナジージェル、羊羹)とモバイルバッテリー、デジカメ。

ハンドルにはサイコンとケータイのほかに「ごーぷろのようなもの」を取り付ける。

ふつうロングライドともなると重さを気にするものだが、私の相棒はそもそもが9kgもあるエントリーロードだし、だいいちいくら夏休みで10kg痩せたとは言え標準体重から比べるとまだまだ重めの私である。無駄なあがきはしないのだ(それならさっさと痩せろ!って話だし)。

とはいえ、寝ぼけていたのだろうか、デジカメと「ごーぷろのようなもの」にSDカードを挿れ忘れるという痛恨のミスをしてしまい、全く無意味に数百グラムの重荷を背負ってしまったのであったのである(まあ済んでしまったことはしかたがない)。

鍵やパスポート、現金なんかはジャージの背ポケットに。

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こうして準備を整えて、定刻通り4時30分に出発。

なお、200kmといえばブルベ(他人と順位を競わずに指定されたコースを走る自転車版ウォークラリーのようなもの)の最短距離であるが、200kmの場合制限時間は13時間30分とのこと。 

なので、13時間半後である18時までに家に帰って来ることができたならば、ブルベに参加することを考えてもいいかもしれない(中国でブルベが開催されているのかはよくわからないが)。 

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予定走路。今回は時計回りに走る。

薄暗い街中を、反射光ベストを着て、フロントライト3つにテールライト1個を点灯し、ゆっくり進む。

なお、夏休みに毎日ジョギングしすぎたせいかどうかはわからないが膝に若干の不安があるので、今日のライドではフロントのアウター・ギアは封印することに。 

重めの私が重めのロードで「おし、時速30km巡航するぞ」なんて調子に乗って救援もサポートもない田舎で膝を壊して動けなくなるとか、バカ以外の何者でもないから。

スピードは出さずにのんびりゆっくり走ります。

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4時すぎの街を流す。

街には、清掃作業のお仕事をしている方々や朝まで飲み明かしている酔っ払いたち、そして早起きしてジョギングやら散歩している人々がちらほらと見受けられる。

普段の街は(特に中国は)車やクラクションでぐちゃぐちゃぎゃんぎゃんうざったいが、早朝はスムーズに走ることができてまっこと快適である。

1時間ほどで巣湖の西岸に到着。

ここから時計回りで1周する。

10km程度走って合肥湿地公園付近を通りがかる頃には6時すぎ。

ここで日の出を拝む。

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湿地公園を過ぎると「南淝河大桥」という橋に出くわす。

巣湖には多くの川が流れ込んでいるので、巣湖沿いを走ると必然的に多くの橋を渡ることになるが、この「南淝河大桥」は今回のツーリングで渡る1本目の橋にあたる。 

ギアを重めに入れてダンシングしながら颯爽と登る!……と行きたいところだが、前述のとおり今日はとろとろ走る日である。 

軽いギアをくるくる回しながらえっちらおっちらと橋を登る。

橋を下って数キロ走って「長臨古鎮」という古鎮に到着。

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この時点で走行距離は40km。

小休止。

トイレを済ませ、おにぎり1個とエナジージェル(りんご味、あっまーい)を口にしただけで、のどかで綺麗な古鎮の景色をじっくり見ることもなく5分程度で出発。f:id:changpong1987:20191004115434j:plain

前回の巣湖一周(8月19日の記事参照 自転車で2泊3日巣湖1周旅行(1日目 合肥市内~巣湖市内) - とある日本語教師の身辺雑記)では、この古鎮を出たあとまっすぐ東に向かったのだが、今回は巣湖に沿って南下する。

これが傾度3~4度ぐらいの緩やかなアップダウンが続く道で、左右に山が広がり景色が綺麗なのである。

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巣湖北部の半島に沿って走る道。写真は別日に撮ったもの。

そうやって景色を眺めながら巣湖を時計回りに走っていると、右手方向に「姥山島景観区」という観光地が現れる。

私は以前自転車で来たことがあるが、この景観区は飲食店も多く観光客で賑わっている観光地である。

景観区の名称に入っている姥山島とは、巣湖に浮かぶ島々のなかでもっとも大きなもの。巣湖周辺を走ると自然に目に入る島である。

景観区からは姥山島に渡る船も出ており、もし渡りたいなら渡ることもできる(もちろん有料)。

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前回撮った姥山島の写真。

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姥山島へ渡る船。

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景観区では観光客向けに巣湖で取れた水産物も売られている。

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巣湖名物の“银鱼”(シラウオ)がそのへんに無造作に干されている。……干されてるんだよね、捨てられているわけはなくて。

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景観区で釣りをするおじさん。おじさん、いくらなんでもその竿の数は欲が深すぎると思うよ。

ここは以前ひととおり見たので、今回は寄らずそのまま巣湖に沿って走りつづける。
景観区を出ると巣湖に大きくせり出している半島に沿って道が大きくカーブし、これまでの南向きの進路が東向きへと変わる。 

そのままずっと行くと今度は北向きへと道が曲がりぐっと湖岸に近づいていくので、右手に巣湖を一望するかたちで走ることになる。

巣湖を周回する道はよく整備されているし、車があまり多くない。

しかもこの日は気持ちの良い秋晴れ。

なので、多くの自転車乗りを見かける。

MTBに乗っているグループやクロスバイクで単独ライドをしている男の子などなど、車種や走行距離はみんなそれぞれだろうけれど、みんな楽しそうである。

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途中で「現在〇〇km」と書かれた赤い看板を目にするようになる。

なんだろう(あとでわかることだが、これは巣湖1周のウォークラリー参加者向けの表示であった)。

 

それにしても腹が減った。

時刻は9時すぎ。

ここまでだいたい70kmほど走っている。

朝食やさっき食べた補給のカロリーなんてとっくに消費しきっている。

補給食ではなくて、なにかちゃんとしたものをガツンと胃に収めたい。

巣湖市内についたらどこかのお店で食事を取ろう。

なにを食べよう、米にするか麺にするか……。

などと考えながら一路進んでいくと、後ろからものすごい勢いで迫ってきたふたり連れのTTバイク(トライアスロンやロードレースのタイムトライアルに使われる、ロードバイクの空気抵抗やポジショニングをさらに進化させた自転車、高い)にぶっちぎられる。

たぶん時速40kmは出ているな。

しかもそのうちのひとりには見覚えがある。

たしか彼には以前にも巣湖周辺でものすごい勢いで抜かれた記憶がある。

どーぞどーぞ、こちらは安ロードでポタリングですから。

悔しくないぞ(ホントだぞ)。

 

なんてことを考えていると、前方にトンネルが。

巣湖1周のコースに存在するトンネルはこの亀山トンネル(約600m)だけである。

亀山トンネルに到着したということは、巣湖市内まであと10kmぐらいのはず。

早く飯が食いたい。 

なんにしようかな……そうだ、卵チャーハンだ、それにしよう。

黄色く散った卵と油でコーティングされた米が美しく混ざり合った、黄金の卵チャーハン。

そういうことを考えつつも、トンネルは危険なのでちゃんとテールライトを点灯させ十分注意しつつトンネルを抜ける。

 

無事に巣湖市内に入ったのはだいたい10時すぎ。

この時点で約90kmを走破(「走破」というほどの距離でもないが)。

さっそく飯屋を探す。 

あったあった、飯屋街。

が、どの飯屋も米がない。

いや、米はあるしメニューにも載っているのだが、まだ炊き上がっていないのだ。

そうだった。なぜだか知らないが、中国では昼にならないと米を提供してくれない店が多々あるのだ。

日本人としては(まあ、最近はそうでもないらしいが)「朝は米!」なのだが、この国では「朝は粉物」なのである。 

うー、ご飯が食べたい。

私の身体が米由来の炭水化物を求めている。

サドルバックの中にはシーチキンのおにぎりがあるのだが、これはあくまで補給食である。今は食べる時ではない。 

しかたがない、麺にしよう。 

ついでに豆乳も頼む。 

頭のなかにあった卵チャーハンを偲んで、せめてもと「菜っ葉と卵の麺」を頼んだのだが、卵が予想していたのとは違う姿で出てくる(炒められて出てくるかと思っていた)。

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うん、これはこれで美味しい。派手さはないけれど、優しい味である。

汗をかいた身体に醤油ベースのスープが嬉しいね。

豆乳は頼んだあとに目の前で豆から絞ってくれる。

砂糖も何も加えられていない無調整の味わい。

筋肉をいたわりつつ、大豆のたんぱく質を補給。 

ごちそうさま。

 

お会計とお手洗いを済ませ、さっさと出発。

いちおう「13時間30分」という制限時間を(勝手に)設けているので、そうゆっくりもしていられないのである。 

巣湖市内は詳しくないので、百度のナビにしたがい前回の巣湖1周のときの見覚えのある道まで走る。 

前回の記憶だと、巣湖市を出たあとの南東側はゆる~い上り坂が長く続いた気がするが……。

うん、やっぱりそうでした。

いきなり斜度10%の坂が姿を現す。

平地である合肥で自転車を覚えた私にとって、これは「激坂」である(なさけない。ちなみに私は坂の街長崎の生まれである)。

前回ここを走った時につけていたサイコン(サイクルコンピューター)には斜度表示機能がなかったのだが、今回使用しているサイコンにはそれが付いているので、いちいち斜度を確認しながら登る。

だいたい6%前後の緩い上りが数キロ続き、下り坂に。そしてまた同じような上りが数キロ続き、下りに……という道が巣湖南岸にたどり着くまで30kmほど続く。

ちょっと精神的にきつい。

しかしよく考えてみると、前回はこの道のりを37度の炎天下のなか走りきったのだ。

それを思うと今回はなんてことはない。

スマホにスピーカーを差し込み音楽を流しながら、ご機嫌でえいほえいほと登る。 

巣湖市内を出たあたりからやたら歩行者の数が増えたことに気づく。

はて、ここはこんなに多くの歩行者が歩くような道ではないはずなのだが。

よく見ると、みんなお揃いの赤いTシャツを着て、各自タイツを履いたりウォーキングシューズを履いたりして、ばっちりと「おいらは歩くぜ」という格好をしている。 

ここでこれまでずっと見ていた距離表示の看板が、今日開催されている「歩いて巣湖を一周しよう」というイベントのものであることを知る。

すごい。

だって、1周150km以上あるんだよ。それを歩いてって。

ずっと歩いていて飽きないのだろうか。

思わず、

「この人たち頭おかしい……」

などと思ってしまうが、もしかしたら自転車で1周だって自転車に興味がない人からしたら「頭おかしい」のかもしれない。 

何事もやってみなければわからないことがある。

それはそれとして、このイベントの案内表示板には単に距離が記されているだけではなく、参加者への激励のメッセージが書かれている。

「ここで諦めたら自分がどれだけ優秀か気づけないぞ」とか「人生とは歩くことと同じだ」とか。 

こういう言葉が1キロごとに目に入る。

いいことを言っているとは思うのだが、ずっと坂を登っている状態でこれを見ると、なんだがこれらの言葉が安っぽく他人事に聞こえてしまい、正直なところ「うっせーよ」と思ってしまう。

まあ、私は自転車に乗っているので、まだ楽なのだが。

 

そんなこんなで、前回「Rくんパンク事件」(自転車で2泊3日巣湖1周旅行(2日目 巣湖市内~三河古鎮) - とある日本語教師の身辺雑記 参照)が発生した空き小屋(今回は立派に先のウォークラリーのスタート地点兼大会本部として活用されていた)を過ぎ、巣湖南西部に到着。 

この辺にはおじいちゃんおばあちゃんがやっている小さな商店があるので、冷たい「ふぁんたのようなもの」を買って休憩することに。

ちなみにここのおばあちゃん、前回も自転車に乗ってきた私にわざわざ椅子を出して休憩させてくれるぐらいに親切なのだが、方言の訛りが激しく、正直「ちょっと何言ってるかわかんない」。なので、あまり交流ができないのが残念である。 

 

今回は近くの草っぱらで休憩。 

目の前に巣湖が広がり、湖面に浮かぶ姥山島と午前中に走ってきた対岸が見渡せる。 

「おお、さっきまであそこを走っていたのだなあ」と思うと、けっこう感慨深い。これも〇〇1周の醍醐味である。

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この時点で走行距離はちょうど150km。

休憩や信号待ちも含めた総走行時間はだいたい9時間。

13時間半は余裕だな。残りを安全かつ快適に走るために、30分ばかり休憩することにしよう(べつに何のフラグでもない)。

さっき買ってきた「ふぁんたのようなもの」(オレンジ味)を飲む。……炭酸が弱すぎる。

まずい。

気を取り直して、エナジージェルで糖分を補給。

自転車乗りにとって、エンジンは己の身体、その身体を動かすガソリンはエネルギー、エネルギー即ち糖分である。 

……うわ、あっま(いつも思うことではあるが)。

私はお酒を覚えてからというもの、以前ほど好き好んで甘いものを食べなくなっているので、ちょっと甘ったるすぎる。

でも、運動するうえで糖分は必要不可欠。

ガソリンがなければエンジンが動かない。

エンジンが動かなければ、どんなにいい自転車に乗っていても(私は乗っていないが)、宝の持ち腐れである。 

我慢して水で流し込む。

 

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今回持ってきたエナジー・ジェル。1個120円ほどとやや高いが、即効性は抜群。ただ、甘すぎる。

ちなみにエナジー・ジェル、ごらんのとおり中国語では“能量胶”(neng2liang4jiao1)という。胶とは「にかわ」であり、ようはねばねばしたものを指すので、たとえば中国語では「テープ」を胶带(jiao1dai4)と呼ぶ。「ねばねばした帯状のもの」だしね。

このまえビリビリ動画(日本のニコニコ動画を真似た中国の動画サイトだが今や本家以上のサービスやクオリティを備えている)で自転車関係の動画を見ていたら、バナナが出てきた。 

すると視聴者からのコメントで「能量蕉」というワードが出てきた。

最初は意味がわからなかったが、これが“能量胶”にかけた言葉だとわかると思わず笑ってしまった。

中国語ではバナナは“香蕉”(xiang1jiao1)というが、“蕉”と“胶”は発音もアクセントも全く同じ。くわえてバナナは栄養に優れ運動時の補給食としても万能である。

ようはシャレなのだが、こういう意味と音との両面で成り立つ言葉遊びって結構好き。

面白いし。

 

閑話休題。

さあ、休憩も終わったし、残り50km頑張ろう。

残りの道のりはほぼ平坦基調だが(というか、データで見ると巣湖1周のコースそのものが平坦基調なのだが)、3つの橋を渡らなければならない。 

疲れがたまってきた時の橋はけっこう辛い。 

まず1本目の橋(名前を忘れた)を渡ったあと、2本目の“杭埠河大桥”(hang2bu4)を渡る。

この橋から私の家までだいたい45kmほど。

渡ってすぐ左折すれば、前回の巣湖1周2日目 自転車で2泊3日巣湖1周旅行(2日目 巣湖市内~三河古鎮) - とある日本語教師の身辺雑記 に泊まった三河古鎮に行くことができる。 

今回はまっすぐ合肥市内へ帰るので、まっすぐ巣湖に沿ってぐねぐね曲がりながらも北上を続ける。

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“杭埠河大桥”

そのあと20kmほど行くと、最後の橋“派河大桥”が見えてくる。 

この橋を渡れば、もうそこは合肥。私の家まで25km程度である。

“派河大桥”を渡りきったところは芝生が整備されていて、国慶節の休暇を楽しむ家族連れや若い恋人たちがテントを張ったり楽器を持ち出したりしてそれぞれの休暇を楽しんでいる。 

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“派河大桥”。写真は前回1周した時に撮ったもの。

そういえばサドルバックのなかのおにぎりを1個食べ忘れていた。

家に帰ったらがっつり肉とビールでカロリーを摂取する予定なので、日持ちが効かない炭水化物を残りの23kmで消費しきるため、芝生に座ってぺろり。

さて、あと少しである。

残りは市街地を走るので、とくに面白いことはない。

車や原付バイクに注意しながら、16時半に無事帰宅。

総走行時間はちょうど12時間、約204kmを完走した。

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やれやれ、なんとか無事に帰ってくることができた。
200km走る前には「200kmを超えるとキツさや走り終わったあとの感覚が何か質的に変わるのかな」とか「自信がつくかも」と思っていたが、結果から見れば特に何も変わらなかった気がするし、自信がついたわけでもない。 

確かに普段よりキツかったたが、あくまで普段のキツさが時間的に引き伸ばされただけのような気がするし、自信がついたというよりは「まあ、走れるんだな」と確認するに至っただけのように思う。 

もちろん今回はゆっくり走ったわけで、たとえばこれを30km巡航でとかという話になればまったく別物なのだろうが。 

なにはともあれ(って言い回しが好きだな、私は)、無事に楽しく気持ちよく200km走ることができてよかったです。

唯一の後悔は、朝寒かったので日焼け止めを塗るのを忘れてしまい、顔がしっかりと「逆パンダ」になってしまったこと。 

連休明けの授業で私を見た学生さんから「こいつ遊んでばっかりいたな」と思われるだろう。

 

なにはともあれ(ほら、また)、無事に私を乗せてくれたメリダを労わりながらスタンドに戻し、ゆっくりシャワーを浴びたあと、夕食の買出しへ。 

なにしろ5000kcal以上消費したわけだから、今日は何を食べても罪悪感がないのである。 

とはいえ肉体の回復のことも考え、赤身の牛肉と刺身用サーモン、サニーレタスを購入。 

牛肉を一口大に切り分け、荒塩と黒胡椒をよく揉み込んだあと、網焼きにする。 

肉を焼いている間にレタスをよく洗い、冷水で引き締めたあと、手でちぎってお皿に盛り、上からレモンベースのドレッシングをかける。 

サーモンはそのままお刺身に。 

牛肉が焼けるのを待つまでもなく、キンキンに冷やした朝日スーパドライで乾杯! 

「くぅ~!」というCM的反応が自然に出る。 

なにしろ帰宅後体重を量ったところ2kg減っていたのである。

それだけ汗をかいたのだ。ビールが不味いはずがない。 

こうしてビールを味わいつつ、焼きあがった牛肉や新鮮なサーモンでたんぱく質を補給すると同時に1日の行程を噛み締めながら、国慶節休暇の3日目は暮れていくのであった。