とある日本語教師の身辺雑記

中国の大学で日本語を教えながら、日常の雑感や出来事を気の向くままに綴ります(最近は麺と猫と自転車が主)。

日記(10.29~31)

29日(火)

7時起床。

授業は10時からなのでゆっくりシャワーを浴びて8時過ぎに出勤。

蔵書リストの提出期限が迫っているのだが、まだまだうちにはたくさんの本が堆積している。

そこからテキトーにむんずと掴みだしたものをリュックにパンパンに詰め、オフィスまで持っていき、自分のデスクのわきに小山を作る。和辻のうえに『あたしンち』が鎮座していたり、カミュのとなりに頭の悪そうな自己啓発書が並んでいたり、なかなかカオスである。

今日明日で済ませなければならない仕事は、木曜日の作文の授業で返却する作文の添削(25枚)と、それぞれの作文を膨らませる参考になる良文を探すこと、過去2年分・総勢70名の学生さんたちの作文から教科書編集用に収集した「良くある間違い」(A4で80枚にもなる)の整理、そして作文ゼミの学生さんたちとの検討会。 

もちろん、その合間に教科書の原稿を書き進めなければならない。

幸い授業は今日の2コマしかないが、それでもこの小山をリスト化する暇と気力がない。

学生さんにお願いしようかしら、お昼ご飯を奢ってあげる「ついで」に。

コーヒー豆を切らしたので、今学期は北京の博士課程に行っているO先生が「どうぞ飲んでください」と置いて行かれたインスタントコーヒーを飲みつつ、作文の添削をする。 

驚いたことに、みなさんこれまでの作文とは、書く態度が一変している。

「自分の言葉で書こう」「面白いものを読んでもらおう」という書き手の気持ちが伝わってくる。 

おお、嬉しい。

いろいろなビデオを見せたり、自分でガーガー喚きたてたりして、「文章を書くとは」について3週間お話したかいがあった。 

でも、やっぱり一番大きいのは、学生さんに自分が書いた作文を自分で中国語訳して提出してもらい、それをクラス全員分まとめてクラスに公開したことだと思う。 

こうすれば嫌でも自分の作文の「俗さ」に気づくからね。 

私がここでいう「俗さ」を「平凡さ」と同一視していただきたくない。 

私は学生さんに「平凡な文章を書くな」なんて言えるような立場にもないし、「非凡な」文章を書けるわけでもない。 

むしろ私は「平凡な」文章を書こうとしている。 

しかし、決して「俗な」文章を書きたいと思ってはいない(思っているだけで実際には書いてしまっている可能性もあるが)。 

「俗」と「平凡」は違う。

以前にもこのブログで書いたかもしれないが、「俗」であるとは、自分はみんなとおんなじなのに「自分はみんなとおんなじじゃない」と思い込んでいて、それゆえ「自分」の価値付やアピールの為に「みんなの考え」から離れられない人間のあり方である。

「平凡」な人間とは、たとえ「みんなの考え」に照らし合わせてパッとしなくても、「あ、そうですか? まあ、別にいいっすよ。」と平気で楽しく生きていける人間のことである。 

如何に「みんな」よりお金を持っていたり、「みんな」とは違う髪型をしていたり、「みんな」と違う奇々怪々な主張をしようとも、それが「俺はお前らとは違う」という「みんな持っている」「ありがちな」自己承認欲求からなされているのならば、私は彼/彼女を「俗物」であると判断するし、「みんな」にすがっていながら、「みんな」に「あなたは違うね」と言って欲しいがために「俺はお前らは違う」とがなり立てている自分に気づけないあたり、バカに過ぎないと私は思う。

こういう文章を書いている私自身は「みんな」と比べてパッとしない人間である。

お金なんてもってないし、イケメンでもないし、服の趣味だってあってないようなものである。

べつにそれを悪いとは思わない。

しょうがないじゃないか、それが私だもの。

だから、こんな「平凡」なことしか考えられない。

でも、それでいい。

私は私の「平凡さ」をしっている。

そして私の「平凡」論の裏に潜む私の「俗物」さを知っている。

だから、私の思う「俗物」は「平凡」な私の「俗な」考えに過ぎないし、「俗物」を「ぷぷぷ」と笑う私はバカなのである。

これじゃあ無限後退だが、主観的に「平凡」なことを書きながら他人を「俗物」だと見下すことで、結果的に自分の刀によって「俗物」として斬られたくはないもの。 

 

などということを書いているうちに授業の時間。

3年生の視聴説を「ガーガー」こなす。

 

オフィスに戻って袋ラーメンをズルズル啜りつつ、デスクワーク。

 私はオフィスのロッカーにキャンプ用品のシリコン製折りたたみラーメン丼を忍ばせていて、金欠のときやなんとなく外へ出てご飯を食べたくない時などは、これでラーメンを作って食すのである(袋ラーメンは熱湯を注いで5分程度待てば美味しく食べられる)。

うちの日本語学部は教員ひとりひとりに小さなロッカーを割り与えてくれているのだが、私のロッカーの内容物は、

 ・袋ラーメン

 ・乾燥パスタ

 ・「ふえるわかめ」(ラーメンに入れる)

 ・フリーズドライの野菜(同じく)

 ・カップスープ(朝食)

 ・ヨーグルト(同上)

 ・りんご(同上、なんかOLの朝ごはんみたいだな)

などなど……みごとに食べ物ばかりである。

調味料も「鳥ガラスープの素」から「食べるラー油」まで取り揃えているのである。 

満腹。

 

仕事を続ける。

14時に「いつもの」 SさんとOさんが来る。

結局、蔵書リスト作成の「ボランティア」をこのおふたりにお願いしたからである。

16時までサクサクと作業していただいたおかげで、座左(なんて言葉はないが)の小山は消失した。 

ありがとうございました。

でも、まだ家にたんまりあるのよね。 

 

この日は17時まで作業をして、帰宅。 

疲れた。 

 

30日(水)

授業がない水曜日。

昨日疲れて早めに寝たので、4時半に起床。

真っ暗なグラウンドへ行って40分ほどウォーキング&ジョグ。

そのあとシャワーを浴びて大学へ。

りんごとヨーグルトとスープを口にしながら、明日の授業で返却する作文を添削する。

10時ぐらいに頭へまわすべき糖分が「ガス欠」に。

身体が「あんこ」を欲していたので校内の売店へ行き、「あんぱん」(四個入りで3元)を購入。ついでに昼食用の袋ラーメンを物色。

これ(写真参照)が美味しそうだったので購入。これまた3元也。

f:id:changpong1987:20191030115451j:plain

オフィスに戻り、「あんぱん」をぺろりと完食したあと、午前いっぱい添削作業。

昼休みにさっそくさっき買ってきたラーメンを食べる。

……まずい。

「バカ舌」である私がそう感じるということは、そうとうマズイということである。

3元ドブに捨ててしまった。

反省。

 

反省しつつも14時から18時まで3年生の「作文ゼミ」。4人の学生さんにそれぞれぶっ通しで個別指導。

疲れたしお腹すいた。

そこに今度は4年生の「研究計画書ゼミ」。

さすがにきついぜ。

「ねえ、もうご飯食べた? まだならご飯食べながらやろうよ」

ということで、久しぶりに大学近くにある屋台街へ。

f:id:changpong1987:20191031102935j:plain

 ぶらぶら見ているうちに、ひさしぶりに“串串香”が食べたくなった。

この料理は名前のとおり、串に刺したいろいろな具材を鍋の中に放り込んで楽しむ鍋料理である。

値段はたいていひと串5角(3円)程度から。

重慶にいたときはビール片手によく食べた。

結構綺麗で美味しそうな店を見つけたので入る。

f:id:changpong1987:20191031102956j:plain

席に案内されたあと、鍋のスープの種類を聞かれる。

「辛いスープ」と「キノコのスープ」を選択。

スープの選択が終わったあとは、各自思い思い食べたい食材を取りに行く。

まあ、まずはこんな感じだろう。

f:id:changpong1987:20191031103015j:plain

お店の人がオススメだという牛肉2種(赤身と、脂身多めの部位)も注文。しゃぶしゃぶして食べよう。

f:id:changpong1987:20191031103036j:plain

そうこうしているうちに鍋が来る。

「キノコのスープ」、美味しそう。

f:id:changpong1987:20191031103057j:plain

f:id:changpong1987:20191031103113j:plain

开了!(煮立った)。

いただきます!

f:id:changpong1987:20191031103130j:plain

それぞれ好きな串をつっこみながら食べる。

おいしい。

寒い季節はやっぱり鍋である。

食べながら2人の研究についておしゃべりする。

色々と興味深い話が沸いてきてわいわい盛り上がったのであるが、長くなるので割愛。

3時間ほどでお開き。

f:id:changpong1987:20191031103145j:plain


寮に帰るふたりと別れ、私はオフィスに戻る。
今日中に作文の添削だけでも終えておきたいからね。

みんなが帰って静まり返った外国語学院のビルで1時間ほどお仕事。

帰宅したのは22時半。

このままベッドに飛び込みたいところだが、さっき火鍋をたらふく飽食したので、このまま寝たら「牛」になってしまう(「豚ちゃうんかい」と思った人、絶対に許さない)。

なので昨日に引き続き『ステキな金縛り』を見ながら20分だけローラに乗ってペダルを踏む。

シャワーを浴びてすっきりしたたあとも、ベッドに入り、ナイトキャップをちびちび啜りながら見続ける。

深津絵里が可愛すぎて死にそう。
もしも私がもっと若いときにこんな女の子に出会っていたら、きっと骨の髄までしゃぶられてポイ捨てされるような振り回され方をしたことだろう(しかも自ら喜んで)。
幸いなことに(あるいは不幸というべきか)私はもうそこまで若くはないのである。

結局最後まで見終わってしまう。

時計を見るともう0時をまわっている。

いかん。

速攻で寝付く。

おやすみ。



31日(木)

6時起床。

眠い。

しかし10時の授業までに学生さんたちのために参考文を集め、打ち込み、印刷しなければならない。

マッハで大学へ行きパソコンに向かう。

城壁のようにデスクを取り囲んだ書籍をパラパラめくりながら、学生さんがより深く広く考える参考になる文章を、学生さんの作文一枚一枚に対して探し、打ち込む。

眠すぎて「シェイクスピアは看破した」を「シェイクスピアはカンパした」とか、「簡易ベッド」を「難易ベッド」とかミスタイプしつつも(わりには意味的には繋がっている)、なんとか10時の授業開始までに間に合う。

ふー。

疲れた。

そのまま12時まで授業。

眠い。

今日はもうこれで「あがり」にしよう。

13時まで雑事をこなし、スーパーに寄ってワインを買う。

窓から入ってくる陽光を浴びつつ、『のだめ』を見ながらワインを啜っているうちにまぶたが重くなってくる。

ということで夕方には就寝。

翌日9時まで爆睡。

こうして10月最後の午後をのんびりと過ごしたのだった。