とある日本語教師の身辺雑記

中国の大学で日本語を教えながら、日常の雑感や出来事を気の向くままに綴ります(最近は麺と猫と自転車が主)。

自転車で2泊3日巣湖1周旅行(3日目 三河古鎮~滨湖森林公園~帰宅)

8月17日(土)

 

10時に出発予定なので7時に起床。

身体を起動するため古鎮内を軽く散歩。 

人々がすでにそれぞれの新しい一日を始めている。

私と同じように朝の散歩を楽しむ人もいれば、清掃をする人もいるし、軒先に椅子とうちわを持ち出して朝食の準備をしている人もいる。 

途中てんびん棒を担いで何かを売り歩くおばあさんとすれ違う。

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古鎮をぐるりと一周。

途中の果物屋さんでりんごを一個購入。それとボトル用の水を入手したあとホテルに戻る。

買ってきたりんごをよく洗って皮ごとまるかじりながら、昨日“打包”(持ち帰り)してきたご飯にオカズを乗っけた「ぶっかけ飯」にして食べる。

基本的に中国のご飯屋さんで白飯を頼むと、そこそこのサイズのおひつやボウルにこんもり盛られて出てくる。たぶん昨日お持ち帰りした白飯は1合半はある。

この夏休みは減量のためにご飯や麺を控えてきたのだが、自転車に乗るとやたらと炭水化物を身体が求める。

まあ、身体を動かす上での「ガソリン」だもんね。食べなきゃ体が動かない。 

ぺろりと平らげる。 

トイレとシャワーを済ませたあと、起きてきたRくんと一緒に出発の準備をする。

 今日の行程は三河古鎮から合肥市内に帰るだけ。

まっすぐ走れば50km足らずである。

しかしOさんいわく「まだ走り足りない」とのこと(元気だなあ)。

それに加え、いちおう「巣湖一周」である。

このまま巣湖西岸を沿わずに市内に戻ってしまうと、距離的には十分に「一周」でも気分的に「一周」とは言えない気がする。

というわけで、今日はまず1日目に巣湖北岸にたどり着いた南淝河の河口まで行き「一周」を達成する。 

そのあとお昼の休憩を取って、すぐ隣にある滨湖森林公園をサイクリングしてから市内に戻ることにする。

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階段を使ってよいしょよいしょと自転車を下ろし、予定通りに10時出発。

すでに太陽は高く昇り、気温も30度を越えている。

まずはX040(三河路)に沿って北上。 

2km走ったぐらいで右折しX048に乗り換え。

農村の中を通る県道なので舗装はあまりよくないが、道に沿ってポプラの木が植えられているので、涼しい。

この道は途中からY003と名前を変えつつ巣湖湖畔を沿うS601(環巣湖大道)へと向かう。

三日目にして初めて走る「Y」だが、これは“ 乡道”(いなか道)を意味するそうである。 

自動車一台分ぐらいの道幅で、舗装はアスファルトからコンクリートに変わる。ときどき舗装すらされていない箇所があって自転車の振動がそのまま腕とお尻に伝わる。

MTBで楽々と前をゆくふたりを見て、ちょっとMTBが欲しくなる。

 とはいえ、そんなY003の旅も1km程度で終わり。

S601との合流地点で目の前に巣湖が姿を現す。 

快適なS601(環巣湖大道)へと進入し、右手に巣湖やそこに浮かぶ島々と船、それに地元の漁師さんが湖岸に天日干しにしている魚などを眺めながら、時計回りに北上する。

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10km程度走ると目の前に滨湖新区のビル群がうっすら姿を現し始める。 

だんだんと馴染みある合肥の風景へと変わっていく。

途中でずっと後ろを走っていたOさんの姿が見えなくなったので、引き返して様子を見に行くと、少し遅れつつもちゃんと走ってついて来ている。

「どうかした?」と訊ねたところ、途中ハンドルにつけていたスマホに目を取られてガードレールにぶつかって転んだとのこと。 

おいおい、気をつけなさいよ。 

ふくらはぎ付近をちょっと打撲して痛いそうだが、「大丈夫!」だそうなので、ペースを落としつつも先へ向かう。

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途中一回だけ休憩を挟みつつ30kmほど走ったところで、一日目に初めて巣湖を目にした南淝河河口へと到着。 

こうして巣湖一周を達成。 

時刻は12時前。

同じく一日目に休憩をとった森林公園の売店で1時間ほどゆっくりする。

少し小腹がすいたので売店でカップ麺を購入。 

一般的に4元~5元のものがここでは10元で売られている。 

まあ、仕方がない。

「シーフード風味」を選び、売店のおばさんにお湯を入れてもらい、3分待つ。 

外で食べるカップ麺って、なかなかの美味である。 

私はときどき好きなカップ麺を準備し、魔法瓶にお湯を詰めて、50kmほど離れた山の中までサイクリングし、新鮮な空気と綺麗な景色を眺めながらカップめんを食すことがある。

健康的なんだかジャンクなんだかわからないが、けっこう楽しい。

自転車でたっぷり汗をかいているので普段は塩分が気になるスープも美味しくいただく。

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そうこうしているうちに一時間以上が経過。 

この森林公園は湿地に設けられていて入場料は無料である。 

しかも自転車で中に入っても構わない(入口で警備員に「スピード出し過ぎんなよ」とは言われるが)。 

客運用の小さなカートを別にすれば、ここには車など走らない。

森の中だから日光から守られていて心地よいし、ほぼ全面が滑らかなアスファルトで舗装されているので、サイクリングにはうってつけである。

森の中をちらほら散策している歩行者と、2人横に並んで漕ぐ観光用自転車(タンデムではない)、それに森の中をときどき走っている小さな列車(遊園地なんかにあるやつ)にだけ注意すればいい。 

木々が送り出したフレッシュな空気を肺の奥まで吸い込みながら走る。

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あまりに路面が走りやすいので嬉しくてたまらなくなったOさん、園内を縦横無尽に走り回る。 

後ろについていきながらサイコンをみると25km/hは出ている。

は、速い(でもスピード出しすぎんなって言われた気が)。

しかもそのペースを15kmほどキープしている。

女性には少し大きめサイズのMTBでこれはすごい。 

20分ほど走って後ろを振り返ると、それでもこれまで頑張ってついて来ていたRくんが視界から消えていた。 

しかしOさんは止まらない。 

こうしてRくんはしばらく森の中でひとり彷徨うことになったのであった。 

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一時間ほど自由に走らせたあと、ひとしきり走って満足したであろうOさんを促し、20km程の道のりをはしり合肥市内へ戻ることにする。

彼女いわく「道がなめらかでとても楽しかった」とのこと。 

そりゃよかった。 

 

さて、家に帰ろう。 

私は大学まで戻るが、ふたりは自転車を返さないといけない。 

なのでまずは借りた自転車を返しに経済開発区にある建築大学のキャンパスに向かう。 

20kmほど走って到着。

自転車を返しおわってタクシーで大学まで戻るという2人とはここで別れ、残り17kmほどをひとりで走る。 

みんなで走るのも楽しいが、ひとりで走るのがいちばん気楽で自由だ。

とはいえ、「家に帰るまでが遠足」ならぬ「家に帰るまでがツーリング」。

ハンドルに装着したスマホから音楽を流しつつも、十分に注意力を研ぎ澄ましながら、ごちゃごちゃした市内を金塞路~合作化南路へと走る。 

その途中左舷9時方向から信号無視をしながら突然飛び出してきた原付にぶつかられそうになる。

びっくりしたし、ほんとうに危険を感じたので、思わず「危ねーじゃねーかコノヤロー、気をつけろバカヤロー」的な日本語が口をつく。

するとむこうが“说什么?”(なんだって?)と応戦。 

ギアを一気にトップにいれこの3日間で一番のダッシュで戦線離脱する。 

こんなところで喧嘩なんかしてられるかってんだ。 

あったかいシャワーと冷たいビールが私を待っているんだから。

 

それ以外には大したトラブルもなく17時半すぎに自宅へ無事到着。 

私が住んでいる部屋は6階にあるがエレベーターがない。

なので3日間無事に走ってくれたメリダを労わりつつ6階まで運ぶ(この作業が3日間でいちばんキツかった)。 

部屋に入り、メリダをスタンドにかけたあと、ヘルメットをとりグローブを脱ぎ捨ててから、走行データを取っていたアプリをとめる。 

最終日の走行距離は91km。 

走行軌跡をみる。 

森林公園でどれだけOさんがグルグル回っていたか一目瞭然でちょっと面白い。

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なにはともあれ、3日間(計270km)の自転車旅行は、途中でRくんがパンクしたこととOさんが転んだことを除けば、大したトラブルもなく無事終了。

ほっと胸をなでおろす。 

ゆっくりとシャワーを浴びて汗と疲れを洗い流したあと、19時半に2人と合流し夕食。 

ほんとうは火鍋が食べたかったのだが、あいにくこの日は土曜日で、予定していたレストランは黒山の人だかり。 

しかたがないので近くの焼き鳥屋へ行く。 

まずは生ビール(朝日)をジョッキでぐいっと。 

うまい。 

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まあ個人的願望を言えば、アサヒを出すならジョッキも霜が真っ白くへばりつくぐらいギンギンに冷やしておいて欲しいんだけど、中国人は身体を冷やすほど冷たい飲み物は飲みたがらない文化があるので、仕方がない。 

このお店、料理は普通だけれども、家から近い。なにより雰囲気が日本の居酒屋そのものなので、ときどき訪れる店である。

なぜだか知らないがつねにテレビで「孤独のグルメ」が流されているので、客が減った10時ぐらいにひとりでふらっと入って、松重豊の一人飯をぼーっと眺めながらビールと枝豆をちびちびやるのである。 

枝豆と「貝わさ」でエンジンをかけたあと、三日間の疲労を回復するために「豚バラ串」を食べる。 

うーん、カリカリで十分美味しいけれど、もっと分厚くてもいいかな。

追加で大好物の「砂肝」もオーダー、熱々の砂肝にレモンを搾ってパクっ。

うん、これは文句なく旨い。 

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週末なので店内は食事を楽しむ中国人で溢れている。

Oさんはカレーうどん、Rくんは焼き鳥丼を頬張る。

ご飯を食べながらふたりと一緒に旅を総括する。 
Rくんは2年前の5月にも友だちと巣湖を一周したことがあるそうだが、その時と比べるととてもきつかったとのこと。 
まあ、真夏だからね。

それにOさんのペースがけっこう速かったし。

そんなOさんに「走っていて一番楽しかったのはどこ?」(どうせ森林公園でしょ)と聞いたら、意外にも一日目、亀山トンネルに入るあたりだとのこと。

景色がきれいでワクワクしたそうな。 

なるほど。 

私が一番楽しかったのは二日目、上りがずっと続く箇所かな。 

35°の真夏日のなか自転車で坂を上りつづけるという、傍から見れば「それ何の意味があるの?」と言われても仕方がないような無益な作業に没頭しているとき、久しぶりに無心になれた気がするからだ。 

いやあ、楽しかったです。 

秋が来たらMTB買って荷台にテントやらキャンプ用品やらを載せてツーリングにでようかしら。 

ちょっと本気で悩んでいる。 

 

とはいえ、もうすぐ新学期。 

この学期はとても忙しくなる予感がする。 

それでもなんとか暇を作って自転車に乗ることにしよう。 

 

という自転車2泊3日の旅でした。